お風呂五十年史


其の五「お風呂多様化の時代(1)」

 昭和六十一年から平成二年までは、日本経済は平成景気と呼ばれる好況が続きました。

低金利政策のもと金あまり現象が起こったため、株価と地価の高騰をまねき、バブル経済が発生しました。

高級ブランド商品、大型テレビ、リゾートマンション、高級外車などのブームをもたらし、消費者は碗ランク上のクラスの商品を買い求めるようになりました。


 そのような状況のもと、住宅ローンの金利が引き下げられ、持ち家取得への意欲、財テク意識の高まりなどにより、住宅の売れ行きはよくなりました。


 しかし、その一方で、価格の値上がりのため、一般の人々には土地の新規購入が難しくなるだけでなく、郊外のマンションでさえ手が届きにくくなったため、住宅のリフォームや二世帯・三世帯住宅への改築が増えていきました。


 平成二年末の株価の暴落をきっかけに、一転してバブル崩壊へと向かいます。

好転する見通しのない不況下、人々は今までの“背伸び型消費”を反省し、着実志向へと生活傾向が移りかわっていきました。

平成六年以降は、価格破壊現象が起こるなど、日本の経済は、消費者重視の新しい市場体制へと変化しつつあります。


 住宅需要は、バブル崩壊後は落ち込みましたが、大衆向けマンションが低価格化し、金利がさらに引き下げられることによって、住宅の一時取得者を中心とした層の間で再びマンションブームが起こりました。

また一方では、高齢化の到来を受けて高齢者対応住宅の建設に盛んになり、住宅におけるバリアフリーなどが重視されるようになりました。

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