お風呂五十年史


其の二「内風呂化の時代(3)」

【お湯のある快適なくらしを目指して】

アルミ製ガス風呂釜の普及

 それまで町工場で家内工業的に生産されていた風呂釜(銅または鋳物製)は、昭和三十年代に入ると工業化が進みました。

特に大量生産に適したアルミ製のものが登場してからは、それまで高価だった風呂釜も安い価格で買えるようになりました。

この外釜方式※の風呂釜は、それまで使っていた浴槽をそのまま使って釜だけが取り替えられること、ワイヤー式リモコンで浴室から点火、消火ができることなど、利便性もかなり向上しました。



※外釜方式
浴槽の中に釜が組み込まれていて、直に水を温める内釜に対し、浴槽の外部に湯沸かし釜が付いていて、釜と浴槽の間を二本のパイプで繋ぎ、浴槽内の水を加熱し循環させて沸かすタイプの風呂釜。



キッチンには小型湯沸かし器

三十年代は、家庭にガス湯沸かし器が入り始めた時期でもあります。

三十年代後半になると、小型湯沸かし器が発売され、お湯を炊事に使える快適さを、身近に実感できるようになりました。


 ガス器具の普及と共に、ガス中毒の事故も増えてきましたが、種火が消えてもガス漏れする心配がない立ち消え安全装置が開発され、安全性も高まっていきました。



「安全対策にも力が入る」

ガス風呂釜の普及に伴い、東京ガスが作成したチラシ。

正しい点火方法や風呂釜、バーナーの掃除の仕方などをイラスト入りで説明しています。

30年代は、ポリバスなどの新しい商品が普及し始めた時代でありますが、このチラシからも分かるように、一般家庭では、木製浴槽が主流だったようです。



ホテルがリードした先進設備の導入___ユニットバス、シャワー

東京オリンピックに向けての建設ラッシュの影響で、水まわり設備の工期の短縮とコストダウンが求められるようになりました。

そのため、あらかじめ向上で組み立てた部材を現場に設置するユニットバスが開発され、ホテルを中心に広がっていきました。


 また、三十年中頃には、一部のホテルを中心にシャワーが設置され始めました。

しかし、まだまだ家庭に普及するには程遠く、一般の人々にとってシャワーは、テレビや映画の中でしか見ることができない、欧米の生活の象徴のひとつでしかありませんでした。

このように、この時代の入浴文化をリードしていたのはホテルであったといえます。


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