お風呂五十年史


其の二「内風呂化の時代(1)」

 テレビが急速に普及した昭和三十年代。

その背景には、皇太子御成婚、東京オリンピックといった大きな出来事がありました。

テレビの普及率は、三十二年が 10.4%、三十四年には23.6%、東京オリンピックのあった三十九年には88.7%にまで達し、ラジオの普及率を一気に抜いてしまうほどでした。

テレビコマーシャルは、多くの商品を人々に紹介し、新しい家電製品や生活用品への認知が高まり、生活の充実を支えることになりました。


 また、都市部の人口増大に対応し、大量に住宅供給を行うために、三十年に日本住宅公団が発足しました。

「もはや戦後ではない」(「経済白書」)とうたわれた一方で、「住宅はまだ戦後である」といわれるほど、住宅の供給は遅れていたのです。



 より質の高い住宅を供給するための公団の提案は、「浴室の設置」と「台所をDK(ダイニングキッチン)スタイルに変える」ことでした。

DKは限られた面積の中で「食寝分離」を実現するために考案されたスタイルで、ダイニングとキッチンを一緒にし、寝室用の部屋を確保しようというコンセプトでした。

設備としては、ステンレスの流し台や様式水洗トイレ、椅子座が導入されました。

各メーカーは、それらを安く大量に作るために、材料から製造方法まで、幅広く研究開発を重ねました。

人々の中に「広い住宅で家族揃って合理的な生活を営む」というアメリカンライフへの憧れが高まってきた時代といえます。

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