お風呂五十年史


其の二「内風呂化の時代(2)」

新しいタイプの浴槽が登場

昭和三十年代は、内風呂の普及率が急速に高まった時代です。

昭和三十八年の住宅統計調査によれば、全国の内風呂普及率は、約六割にまで達しました。

銭湯に行かずに、自宅で入浴をすませることができるようになったことは、人々の生活に大きな変化をもたらしました。

当時、内風呂に拍車をかけたのが、浴室のある公団住宅の大量供給でしたが、初期の頃は、浴室はあっても浴槽、風呂釜の設置は入居者に委ねられていたため、新築団地の前で、実際に風呂を沸かしてみせながら売るデモストレーション販売がされたりしました。


 浴槽の量産化が必要となったことで、ポリバスを始めとした新しいタイプの浴槽が誕生、まずは、ホテルに導入されました。

中でも、ガラス繊維を基材にポリエステル樹脂で形成した浴槽(FRP浴槽)は、丈夫で長持ち、湯が冷めない、手入れが楽で美しい、といった理由から広く受け入れられました。


 当時の最先端の技術である合成樹脂でつくられたこれらの浴槽は、淡いブルーやピンクの色合いも含めて、それまでのお風呂のイメージをガラリと変えるものとなりました。

当時のポリバスは、一部では「国民浴槽」などと呼ばれ、約二万円(当時の大卒初任給は約一万六千円)という決して安い価格ではありませんでしたが、それまで木製が主流だった一般家庭に普及していきました。


img


>1 >2 >>3 >4
>>お風呂五十年史トップ
湯の国Webトップ(mobile)
湯の国Webトップ(PC)

(c)Yunokuni Web