お風呂五十年史


其の四「昭和50年代お風呂の技術革新の時代(3)」

技術:二階にもお風呂を

 昭和四十年代が安全性の追求だったのに対し、五十年代以降は、利便性追求の時代といえます。

マイクロエレクトロニクス技術が追うようされた様々な技術開発が進み、消費者の多様な要望に応えられるようになり、台所やお風呂などの水まわりはどんどん便利になりました。


 それまで風呂釜の設置可能な場所は選択の余地が少なく、浴室の場所が制約されていましたが、設置フリーに向けて技術が進んだことによって、住まいを設計する上で、好きな場所に浴室を設けることが可能になっていきました。

五十一年には耐風.耐雨対策を備えた、屋外風呂釜が登場しました、家の外壁に面した場所に設置する屋外据置型や、家の外壁を利用して設置できる屋外壁掛型があり、ユニットバスの普及と相まって、二階の寝室近くに浴室を設けるなど、ライフスタイルに合わせて浴室の位置や数を決められるようになりました。


 五十四年には、給湯器と風呂釜がドッキングした、給湯器付風呂釜が登場しました。

四十年代までは、台所は小型湯沸かし器、お風呂には風呂釜というように、個別にお湯を沸かす方式が一般的でしたが、一台でお風呂、台所、洗面所の三ケ所でお湯が使えるようになりました。

洗面所でもお湯が使えるなり、六十年代の朝シャンブームへとつながっていきます。


 五十年代末には「全自動風呂給湯器」が発売され、台所からリモコンのスイッチを押すだけで、お風呂を沸せるようになりました。

「適量・適温」で自動にストップするので、お風呂をあふれさせたり、沸かし過ぎたりすることがなくなりました。



種類別風呂釜の普及率の変化

 昭和五十年代は、各種風呂釜が出揃った時期です。

安全性が高く、シャワー浴もできるバランス釜(BF型)の普及は目覚ましく、それに対して、従来タイプのCF型は減少の一途です。

屋外設置タイプのRF型は発売当初から支持を受けていた。



タイプ別・給排気方式の違い

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 屋外設置用の自然排気式の風呂釜。

燃焼用の空気を屋内から取り、燃焼した排気ガスは、煙突により屋外に排出する構造です。

逆風によって、煙突が閉塞状態となった場合に、排気ガスが室内へあふれてしまう恐れがあるため、事故を防ぐための安全装置が必要です。



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 屋内設置用の自然給排気式の風呂釜で、バランス釜と呼ばれています。

給気口と排気口を同一箇所にしてあるのが特徴。

燃焼で生じた排気を外気中に排出すると同時に、ドラフト効果により、燃焼に必要な外気を取り入れて燃焼を行います。

給気と排気のバランスを保ち、安定した燃焼を得られる、安全性の高い風呂釜です。



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 屋外設置用の風呂釜。

風呂釜が浴室からなくなるので、浴室を広々と使うことができます。

また、屋外でガスを燃焼させるため、浴室の給排気対策が不要になります。



シャワー浴の定着

 昭和四十年代、シャワーは一般家庭に普及し始めましたが、湯温の調節がしにくいなど、性能的にはまだまだ問題がありました。

これを解決するために、サーモスタット機構の付いたシャワー水栓が開発され、一般家庭に普及するようになりました。

サーモスタット方式は温度調節ハンドルがダイヤル式になっていて、希望目盛にあわせておけば、いつでも設定温度のお湯がでるため、それまでよりずっと使いやすくなりました。

また、水、お湯共に十分な水圧が得られる、一時止水ができるなどの能力が向上。

このような機能面での向上と共に、デザイン的にも様々な浴室用水栓が開発・販売されました。


 この頃にはシャワー浴はスポーツの後や出勤前・外出前に利用する、新しいライフスタイルのひとつとして定着していきました。

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