◆東京風呂日和◆
Vol5.中野ｴﾘｱ「昭和浴湯(1)」
■銭湯のﾛﾋﾞｰで、繰り広げられる奇妙なｼｮｰ。
何ごとだ、これは！？
只今の時間は、午後11時。
仕事帰りにちょっとひとっ風呂のつもりで、風呂屋の暖簾をくぐってみると、ﾛﾋﾞｰには若者があふれ、異様な盛り上がりを見せていた。
人垣からのぞくと、風呂屋のご主人らしき人がﾏｼﾞｯｸｼｮｰをしているではないか。
なぜ風呂屋でﾏｼﾞｯｸ？はて？なぜ？？と頭の中が？でいっぱいのまま、とりあえず野次馬根性で拝見することにした。
「じゃあ、今度はこの柔軟剤を使ってﾏｼﾞｯｸしてみようか」
ﾜｰｯと若者たちが拍手でもり立てる。
なんとも気さくなﾏｼﾞｯｸｼｮｰだ。
「すいませーん。
誰か名刺を持ってる人いる？」
仕事帰りで名刺を持っていたので、おずおずと“ﾏｼﾞｼｬﾝ”に差し出す。
「これから柔軟剤にﾄﾗﾝﾌﾟの中の名刺を選ばせます」
ﾏｼﾞｼｬﾝが名刺入りのﾄﾗﾝﾌﾟを切って、柔軟剤に立てかけてみると…… ｽﾙｽﾙｽﾙ〜ｯと、名刺がﾄﾗﾝﾌﾟの中から浮き上がってきたのである！！
な、なんでだ？いや、それよりも、この人はいったい何者なんだ？
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