東京風呂日和


Vol2.麻布十番エリア「麻布十番温泉(2)」

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密やかにお湯にこだわる

麻布十番温泉はビルの3Fにあり、1Fには同じ温泉源による銭湯『越の湯』がある。

1Fは3時からの営業だが、3Fは午前11時から営業しており、真っ昼間からの入浴が楽しめる。


決して新しいとはいえないが、妙に懐かしい感じのする浴室でゆっくりと過ごすうちに、なんだか肌がしっとりとしてきたような気がする。

「お湯がやわらかいでしょ。

これは温泉効果もあるけれど、沸かし方にもコツがあるんです。

うちは創業当初からずっと廃材を利用して沸かしてますから」
というのは、麻布十番温泉の社長である平岡千枝さん。

今でも毎日、ボイラー技師が釜の前につきっきりでお湯を沸かし続けているという。


「大変っていえば大変ですけど、やっぱりお湯は肌触りが命ですから。

こればっかりは変える気はありませんね」


東京のど真ん中の、異次元

体が芯まで温まったせいか、なかなか汗がひかない。

吹き出してくる汗を拭きつつ大広間へ向かった。

ステージには『歓迎 麻布十番温泉』と書かれた垂幕(?)がかかり、カラオケセットとなぜか花笠が。

だだっ広い畳の間には宴会用の長テーブルがずらりと並び、ポットと茶碗が“ご自由にどうぞ”という感じで置かれている。


…ここは、本当に東京の真ん中なのか? と疑いたくなるような光景である。

が、気分は悪くない。

湯上がりの休憩を兼ね、畳にゴロリと寝ころんでうたたねしている人もチラホラいて、外界とは明らかに異質の時間が流れている。

遅ればせながら、うたたね組に交じって横になってみると、青い畳の匂いとサラサラと冷たい感触がなんともいえない。

夏休みに田舎へ帰省して昼寝しているような感覚に陥り、いつの間にかトロトロと微睡んでしまった。

麻布十番温泉:東京都港区麻布十番1-5-22
TEL.03-3404-2610(ヨレヨフロジュウバン)


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