◆湯煙コラム◆
■桃生亜希子
「身体がここにある!と感じられるのが、面白い」
世界を旅していたら、いろんなお風呂に出会えました。
おもしろかったのは、トルコの蒸し風呂、ハマム。
お城みたいな建物のなかで、世界各国から訪れた大女や美女たちが、あったかくて丸い石のステージのようなところに座っています。
番号を呼ばれると、下着姿のおばちゃんが身体を洗ってくれて、最後にバシャーッとお湯をかけてくれる(笑)。
かなり荒っぽいのですが、どうやらそれがサービスのようで、おかしかったです。
ある番組の収録で、ミャンマーの山奥に行ったときは、1週間お風呂に入れなかったこともあります。
みんながすごく水を大事にしていて、たまに身体を洗うとなっても、井戸からお水をちょびっと汲んで、かんたんに拭くだけ。
髪をきれいにするときは、櫛(くし)をお湯につけて梳かしていました。
私も同じように過ごしていたので、身体中がドロドロ。
でも、山の中でいいご飯を食べて暮らしていると、それが汚いとは全く感じませんでした。
街なら我慢できませんが、その場所にいるとむしろどんどんと浄化されていくような気がしました。
日本に帰って来て、「蛇口をひねれば、こんなにお水が出てきて、毎日たっぷりお湯の入ったお風呂に入れるなんて本当に贅沢で、幸せなことだなぁ。」
と改めて感じました。
日本のお風呂よ、ありがとう!
私にとって、お風呂は「ああ、身体がここにあるんだ」ということに気づける、最高の場所でもあります。
冷えた体を湯船につけて、だんだん足から全身が温まっていくとき、スポンジで身体を洗っているとき、酵素風呂や岩盤浴に入っているとき・・・。
身体がここにある!って感じられるのが、面白いのです。
それに、お風呂は身体を緩(ゆる)めて、リラックスさせます。
心と身体はつながっていると思うから、それはとても大事なこと。
以前、知り合いからストレッチによるリラックス方法を教えてもらったとき、「身体は心の感情を記憶している」というのを、実感したことがあります。
そのストレッチは、頭のてっぺんから足の指まで、ひとつずつ緩めていくというやり方。
手首を緩めることによって、ワーッと泣いちゃう人がいたり、親指が緩まって、笑いだす人もいるそうです。
私もさっそく試しに「次は肩、次は胸」と集中してやっていたら、イライラした気持ちが沸いてきて、なぜだか涙がでてきて、びっくりしたことがあります。
それ以来、ここが「緊張している」と気づいた時は、緩めてリセットするようにしています。
普段から出来る
だけニュートラルに物を見られれば、より一層充実した毎日を送れる気がします。
これからもまだまだ付き合っていく、この身体。
毎日、お風呂で会話し、これからも共に仲良く色々な所を旅していきたいと思っています!!
文/桃生亜希子(ものうあきこ)
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