◆湯煙コラム◆
■大桃美代子
「チンチルパン」
今年の春、韓国に短期留学していたのだが、そのとき借りたマンションにはお風呂がなかった。
新築の36階建てのマンションにもかかわらず、お風呂がない。
正確にはシャワーはあるが湯船がない状態で、韓国にはこういうマンションは珍しいことではないらしい。
韓国は湿度が低いため一日中カラットとしている日が多いので、家ではシャワーでさーっと流すくらいでいいのだという。
湯船に肩まで漬かり、一日の疲れを癒そうと考える私にとっては驚きだった。
湯船がないのは寂しいし、体にも異変が出てくる。
ソウルは起伏があり、歩いていると筋肉が疲れ足がむくむ。
解消法はお風呂でゆっくりふくらはぎをもみながら、半身浴で汗をじっくり流すのが一番。
これが出来ないのだ。
湯船がない生活がこれだけしんどいとは思わなかった。
なんとか湯船に入ろうと探していたら「チンチルパン」という健康ランドのようなものが街にたくさんあり、そこに韓国の人は週に一度くらい出かけて時間をかけて湯船に入り、アカスリをするのだ。
さっそく「チンチルパン」を探して入ってみた。
ロビーでバスタオルとTシャツ、半ズボンをうけとりロッカーへ。
フローリングに暖房が入っていて気持ちがいい。
まず、Tシャツと半ズボンに着替えサウナへ。
サウナの種類がたくさんあり、100度近いものから、ツララが出来るくらい冷たい部屋、はたまた水晶が置いてあるサウナまで6種類くらいある。
各部屋に横になれるように枕がおいてあったりする。
疲れたら外のフローリングの空間で寝転がる。
テレビモニターがあり映画や番組を見ながら過ごせる。
ここでの過ごし方のお勧めは、ゆで卵を食べること。
隣のおばさんによると、サウナの遠赤外線でゆで卵が出来るらしく、それを食べると肌がつるつるになり体にいいと言う。
ゆで卵を割るときに頭に卵をぶつけて割っていた。
大胆な姿に笑いながらも勧められるまま頭で割ってみた。
「ぐしゃー」と頭蓋骨に響く音がした。
以外に痛い。
他にも、おなかがすいたら食堂で冷麺も食べられるし、マッサージ器(日本製だった)が置いてあり一回100円ぐらいで使える。
ネイルサロンも設置され体を隅々までリフレッシュできる空間になっていた。
ここでは老若男女同じ空間ですごす。
韓国の縮図のような場所。
韓国も高齢化が進んでいることを実感できた場所でもあった。
最後はお風呂。
ここはさすがに男女別だが、湯船の種類が豊富でジャグジー、薬湯、冷水、ぬるま湯、熱めの湯と6種類くらい。
湯船にゆっくり入ったあと、アカスリタオルで体をごしごし。
汗をかいたおかげで足のむくみも取れて顔もすっきり。
このすっきり感はつぎの日まで続いた。
ゆで卵の効用か肌もつるつるしている。
この時から、湯船で汗をたくさんかく日はゆで卵を用意して入るようにしている。
自宅で「チンチルパン気分」結構楽しいですよ。
(文:大桃美代子)
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