◆湯煙コラム◆
■永井美奈子
「生まれて初めてのお風呂」
赤ちゃんには、「なるべく神経質にならないように」と、今から思っている。
とは思っているものの、初めての出産、ついぞ力が入ってしまう。
初めてのことに取り組むとなると、片っ端から資料をかき集め猛勉強してしまう悲しいアナウンサー性分。
その結果、最悪の事態を想定して落ち込んでしまう悪い癖。
そんな時、私を救ってくれたのが主人の一言だった。
「出産はほとんどの女性が経験している事でしょ?産院がないアフリカのサバンナだって、砂漠だって、立派に子供は育っている。
大丈夫、大丈夫。」
サバンナを例に取るのはさすがに私の性格とは両極に居る彼らしい発言だとは思ったが、これを聞いて、少し気持ちが楽になった。
それ以来、なるべく神経質にならないようにしようと思っている。
ところが、先日出産経験のある友人と話していて赤ちゃんの沐浴の話になった。
「始めの1ケ月はベビーバスでなきゃだめよ、沐浴っていってね。
大人と湯舟につかったら細菌が感染する可能性が高いから一緒になんて入ったらだめよ。」
沐浴(モクヨク!?)
私は、宗教用語だと思っていた。
ほら、良く聖なる川で身を清めるあれでしょ??
急に不安になった私は広辞苑で沐浴を調べた。
「沐浴」“髪を洗い、身を洗う事”“恩恵を受ける事”…とある。
さらに「斎戒沐浴」という言葉がある。
これは“心を清め、身を洗う事”
ほら、やっぱり神聖な感じがする。
大体お風呂に入ることを何故赤ちゃんだけが沐浴なんて言葉を使うのか????
こうなると止まらない私の性分、片っ端から、本を読み漁り、インターネットで調べまくった。
すると何故沐浴かはどれも書いていなかったが、事細かに沐浴の方法が書かれてあった。
「左手のひらで頭と首の後ろをささえ、親指と人さし指で耳の後ろを支えて、水が入らないようにする、さらにもう一方の手で親指をお腹に、残りの4本でお尻を支え、湯船にそっと入れる。
途中親指と小指を中心にわきの下に手を入れ、残り3本で首を支えてうつぶせの格好にして背中も洗うetc.」考えただけで指がつりそうになってきた。
これはパパの役目にしてもらおうと思ったが沐浴に最適な時間は日中午前10時から14時とある。
ああ、どうしよう。
でもbabyにとってはこれが生まれて初めての“first お風呂”。
恐い思いをしてそれがトラウマになったら大変。
そこで私は我が家のぬいぐるみを使って沐浴のイメージトレーニングを始めた。
やっぱり私は神経質なのだろうか?
ああ、早くのんびり一緒にお風呂に入れる日が来ますように。
(文:永井美奈子)
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